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「グランメゾン」という言葉を知っていますか?

「グランメゾン」という言葉を知っていますか?
 以前にはいくつかの条件がありました

以前、木村拓哉さんの主演したTVドラマのタイトルにもなり、ドラマの監修を
ミシュラン3ツ星獲得の「カンテサンス」のシェフ・岸田さんが務めておられ、
ご覧になった方も多いのではないでしょうか?
なので「グランメゾン」という言葉は知っている、という方が多い筈です。

和製フランス語でフランスでは通用しない言葉なのですが、この言葉を普及し、
日本にフランス料理を定着させるために先達たちが基準を決め「グランメゾン」に
値する項目をいくつか設けたと言われています。

フランス料理店にはクラス分けがあって、ご存知の方も復習を兼ねてご紹介しますね。

1, 「カフェ」(Cafe)…誰でも入店しやすい一般的なフレンチレストラン。
  気軽に利用しやすいことが特徴。着ていく服装も自由。

2,「ブラッスリー」(Brasserie)…日本でいう「居酒屋」のようなイメージで
  しょうか? お酒を多く取り扱っているのが特徴といえば特徴でしょうか?

3,「ビストロ」(Bistro)…よく聞く言葉ですが、フランス語で、
  「小さな料理店」という意味で、家庭的な落ち着いた店内が特徴。

4,「レストラン」(restaurant)…私たちが普段使っている言葉ですが、
  高級なレストランを意味します。ドレスコードはお店によってまちまち。

5,「オーベルジュ」(Auberge)…宿泊できるレストランをオーベルジュと
  言います。
  あくまでもレストランがメインで、お酒や料理を心ゆくまで楽しめるよう、
  宿泊施設も併設している料理店になります。

6,「グランメゾン」(Grande maison)…4番目の「レストラン」中で、さらに
  一段上の豪華で日常では味わえない最高のサービスを享受できるお店です。

今回はこの「グランメゾン」とは何ぞや? その基準は何なのか?
などについてご紹介したいと思います。

「ブランメゾン」と呼ぶのにふさわしい条件としては、

「キュイジニエ(料理人)」以外に質、量ともに充実した「ワインリスト」に
それをサービスする「ソムリエ」や最後のデザートに欠かせない
「パティシエ」もいる。

「化粧室が男女別々」にある。「ウエイティングバー」がある。
それに、「ドレスコード」もあり、かつ「有名店」で「高価格」、

非日常的な「豪華な内装」、「調度品・備品などが歴史あるもので
かつ高価なもの」、「質の良い接客」にもちろん「美味しい料理」…

さらに、そのお店に行くだけで周りから羨ましがられる「知名度」
や「ブランド力」もなければいけません。

そして、例えば「シェフが有名」かつ「実力者」、「店内の席の配置
がゆったりしている」、ある程度の人数を収容できる「キャパ」もないと
狭いと居心地が悪いでしょう。

昨今のメディアでもてはやされる「新興勢力」のお店ではなく
「歴史」も必要かも知れません。 しかし歴史もあってもコロナ禍でやっていけず
惜しまれながら閉店してしまうお店も出てきております。ピエール・ガニエール、
クレッセント、INUAなどミシュランの星を獲得したお店も例外ではありません。

今ではなかなかこの条件に適うレストランはほんの数軒かも知れません。
例えば、銀座「ロオジエ」でさえも改装後には「ウエィティングバー」が
あったのを効率性や広さなどで必要はないと考え、この象徴的な「待合い」
の「バー」をなくしたんだと思います。

また、東京の地価の高さから地上に入り口を設けることが困難な時世です。
地下にあってもビルの上層階にあっても存在感あるお店もたくさんあります。

そんな中でも「グランメゾン」のレストランの基準として、素晴らしく
美味しく豪華で高いという感じが一般的なのですが、一番の違いは

~非日常の雰囲気の中で豪華なお食事を楽しみ、最高のサービスが受けられる
レストラン~
 

いかに非日常を演出してくれるレストランだと思うのです。
「う~ん、旨い!」ではなく「美味」で「洗練されていて」「洒落だなぁ」と
受け取る感覚ですね。

「ジョエル・ロブション」も「アピシウス」も「ロオジエ」ももとってもいい
レストランで1年に1回は行きたいお店ですが、今日は特に日本橋の「シェ・イノ」を
ご紹介したいと思います。

栄枯盛衰の激しい飲食業界で不動のトップに君臨し続けてきた巨匠の井上 旭氏。
昨年、2021年11月6日、享年75歳でお亡くなりになってもうすぐ1年。

私は丁度、自分お誕生日の9月にこのレストランで食事をしました。
ご一緒に「グランドメゾン」の代名詞でもある「ウェイティングバー」の前で記念撮影。

店内のウェイティングバーの前で記念のワンショット
シェ・イノのレストランの玄関前で

その際に申し上げたことは「100歳まで現役で鍋を振って美味しいお料理を作り続けて
下さい」と。

ですので、それから1ヶ月ちょっとで天国へ行かれたので本当に残念に思います。

16歳で渡仏、名だたる名のパリの「ラ・セール」、ロアンヌの「トロワグロ」、
パリの「マキシム」と世界中のグルマンが羨望のまなざしを受ける名店で修業。

「ソースの達人」の異名を持ち、2007年にフランス農事功労賞 シュヴァリエ受賞、
厚生労働省より 「現代の名工」 受賞。正統派のこれぞフランス料理を味わせてくれました。

【仔羊のパイ包み焼き“マリア・カラス”】

そしてその中でも、井上シェフが修業していたマキシムでオペラ歌手マリア・カラスが
好んで食べていた仔羊。

日本人に馴染みのなかったこの食材を美味しく食べてほしいという想いから、彼女に
捧げる料理をイメージして創ったのがこのひと皿。レカン時代から続く、井上シェフの
スペシャリテです。

古賀純二シェフがこのソースを引き継ぎ、支配人兼シェフソムリエの伊東賢二氏の
的確なワインセレクションに井上 旭氏のDNAがずっと受け継がれているのでしょう。

子羊のパイ包み焼  マリアカラス 
前菜のパテ

あの世でもきっとフライパンの鍋を振って今も美味しい料理を作り続けているのに
違いありません。

 

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