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皿の上の料理には作り手の人格が如実に現われる!

最近、流行りのフーディズが好むインスタ映えするような華やかなフランス料理が
もてはやされています。

シャガールの絵のような華やかなお皿の盛り付け、考え込ませられるような形の料理、
壊すのがもったいない程の繊細な形、煙やチュウブからソースが出てきたり音などの演出もあるお皿…

食べる前から五感を総動員させてしまう感じ… だから何故か肩が凝ってしまう。
もっとシンプルにオーソドックスにお料理のそのものを肩ひじ張らずにいただきたい
ものと思ってしまう。

昨夜、三田の「コート・ドール」にビジネスパートナーと行ってきました。
ここには、さりげない普通の中に究極のホンモノの味がありました。

 

今もフランスのパリではミシュラン3ツ星を取り続け色褪せしていない堂々のレストラン
となった「ランブロワジー」をベルナール・パコー氏とともに開いて誕生させた日本人
シェフが斎藤政雄シェフ。

メイン料理は定番の「国産牛テールの煮込み 赤ワインソース」、前菜は2皿お願いして
「冷製鴨のフレッシュ・フォアグラ」と秋らしく「セップ茸のフリカッセ エシャロット
パセリ」をいただきました。

    

セップ茸とはイタリアでは「ポリチーニ茸」呼ばれています。フランス版”高級松茸”
のイメージです。フリカッセとは炒めてから煮込む料理方法でこれがなんとも言えぬ
美味しさ!旨い!

そして「牛テールの赤ワイン煮」。肉の真ん中にしっぽの骨があります。フォークで
ちょっと触るだけでも骨からほわッと肉がはずれそうになるんです。

この取れそうになるまで煮込む、煮詰める。そして2~3日おいて冷蔵庫で休ませる。
注文を受けると網脂(というネット状の豚の脂)で包みこませ、ワインで抜け落ちた
脂肪をまた補給して味に深みと丸みを持たせ、見た目にはいかにも美味しそうな
照りをつけてサーブされてきます。

斉須政雄シェフの究極の一皿といっても過言ではないスペシャリテです。

そして、最後に厨房を見せていただきました。私は2回目なのですが、今回ほど
マジマジと拝見させていただいて、そのきれいさにこころを打たれたことは
ありませんでした。

斉須シェフが自ら店の掃除をしていることです。この掃除を行うのは朝の
仕込みの
後、ランチの終了後、夜の仕込みの後、ディナーの終了後、の4回!

日によっては床の雑巾がけ、蛍光灯や排気管など、普通の家庭では大掃除の時
ぐらいしか掃除しないところまでほぼ日常的に掃除を励行しておられる。

フランス料理にはバターや牛乳やチーズや匂いのきつい、焦げ付き易いものが
多く使われます。

それが、30年以上経っても調理器具も調理台のキッチンも水道栓も床もあらゆる
ところが隅々まで磨き上げられて「ピカピカ」の「キンキン」の美しさ!

鍋類などの調理器具、クリストフルのカトラリー、お店の備品類、もちろんお皿の一つ一つ、全てが無始無臭の綺麗さ!

 

     

斉須さんの著書にはこう書かれてあります。

「ぼくは、雑用もやるからこそ力を宿すのだと信じていた。下の人を蹴落とすために
力を宿そうと思わなかった。若い人を引き上げれる自分になりたかった」

「遊んでいるのか仕事をしているのか分からないような職場は最高です。仕事が日常な
訳だから、毎日やっているお掃除が何でも遊びと変わらず習慣でできてしまう。
大掃除を毎日やっていたらそれは大掃除ではなくなる…」

「料理長であろうがなんだろうが、事務所でひっくり返ってるな。掃除をしろ!」
そう自分に言い聞かせてきています。

「一つ一つの工程を丁寧にクリアしていなければ大切な料理を作ったり当たり前に
作ることが出来ない。大きなことをやろうとしていても、一つずつの行動が伴わない
といけない。裾野が広がっていない山は高くならない…」

以前、お店で購入した「十皿の料理」にサインしていただいた言葉には。。。

「習慣は第二の天性」 斉須政雄 

と記されていた。

ミシュランの星で云々で騒ぐのでなく、「本物の料理人の仕事の真髄」が
このお店にあると思う。

是非、皆さんも斉須さんのお料理を食べにきて下さい。

これから寒くなると「黒トリュフのパイ包み」の季節がやってきます。。。

 

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